今朝、いつもの魚屋でひと問答があった。
いつものようにダンキンドーナツのアイスコーヒー・ミディアムサイズをチューチュー飲みながら魚屋に顔を出すと、魚おろし専門の天才バカボンのお父さんにそっくりのフィリピンのおっちゃんと、看板娘のサンディー、それに客のおばさん2人、おじさん2人が床に座り込んで何か必死に解読している。「なな、なにごと?」と聞いてみると、新しいタコを業者が持ってきたんだけど、パッケージからどこ産のタコと書いてあるかみんなで探しているところだという。「おっ、こりゃスペイン産だよ」「どれどれ」「うぉっ、本当だ。スペインのタコだよ、コレ」。そして、そのタコを仕入れるかどうかもめている。客のおばさんがこう言い放った。「スペインのタコはポルトガルのタコよりも断然おいしいのよ。これを店に出さない手はないわよ」。サンディーは「いや、ポルトガルのタコはよく出るし、柔らかくて好評だから、何もそれをあえてスペイン産に代えるこたーないよ」。バカボンとうさんが口を出す。「フィリピンのタコだってうまいのだーっ」。それには全員口を揃えて「固い」、はい退場。結局、なぜか私がそのタコを持ち帰って料理をし、判定することになってしまった。
このところ、私はタコを求めて何千里。「おいしい柔らかいタコ料理を覚えたい」という主婦達の要求にお応えしようと、日々タコのことばかり考えている。もちろん、いろんなタコを買って、時間のある限り茹で方の研究をしている。そんなところに舞い込んできた「スペインダコ」。確かに興味深々だが、そう毎日研究に使った、時には失敗したタコばかりを食べているわけにはいかない。なのに、また持って帰ってしまった。
袋から出し、吸盤の具合、色つや、皮の具合など、私の中にあるタコメーターでそのタコを評価した結果、「旨いはずだ。これはポルトガルのタコを抜くかもしれない。」と、タコ感が働いたのだ。
さっそく、先程自分の祖国スペインのタコをみんなの前で自信満々に自慢したおばちゃんに聞いた「とっておきのタコを柔らかくする方法」で茹でてみたら、うわーん、うあわらか〜〜〜〜い。ど〜ちまちょ、とんでもなくやわらか〜〜い。そういうことになり、私は一瞬にしてこのスペインダコのファンになりました。魚屋にいた業者の名前と場所をしっかりと押さえていたので、今週その卸し屋に出向き、もう一度スペインダコを買う予定。
今日はとりあえず「スペインのおばさん伝授のタコの煮込み」を作ったが、ちょっと失敗。ポルトガルのタコよりも塩気が多いなんてことは誰が知ろう。塩、入れ過ぎちまっただよ。これが次回の良きエクスペリエンスとなり、各国のタコを制覇するコヤシとなることだろう。
タコの道は長い。