バングラデシュのおじさん達が、懐かしそうな顔をして、一気に買い求めてました。
私もちょっと。見たことのない野菜です。
おじさん達は「sajina」と呼ぶそうです。英語では「ドラムスティックツリー」。確かにね。別名「モリンガ」。日本では「ワサビノキ」と呼ぶそうです。
これはその樹木の実の部分だそうです。インド原産の熱帯や亜熱帯に自生するらしい。とても成長がとても早く、1年で5〜10メートルに伸びるそうです。
この樹木を研究・植樹している「モリンガ協会」という団体があるそうで、栄養補助食品としてアフリカの子供たちの栄養失調対策としての国際貢献活動が進められているそうです。
その協会によると、この木の葉も花も実もすべてに高い栄養が含まれているらしい。葉には、オレンジの7倍ビタミンC、にんじんの4倍のビタミンA、ミルクの4倍の カルシウム、バナナの3倍のカリウム、ミルクの2倍 のたんぱく質が含まれているんだって。実には、油が沢山含まれており食用油として使えるほか、ベンオイルと呼ばれる高級潤滑油としても利用ができるそうだ。
また、インドのアーユルヴェーダでは必須とされる樹木だそうだ。
そして、もう一つ。油を搾りとった「しぼりかす」を粉末にして汚い水に投入するとモリンガのタンパクの持っている凝固作用により水が浄化できるという。まさに「魔法の植物」であるということがわかりました。
オクラのような表皮だったので、試しに少し塩茹でにしてみましたが、筋金入りのスジ(本当の筋金のよう)。筋を何とかして取る必要があるので、セロリのようにして取ろうとしましたが無理。少しでも残っているとノドを刺すような筋です。結局、茹でて水で絞めて、包丁で二つに割り、アーティチョークのように歯でしごいて食べてみました。味はおいしい。水っぽくなくはなく、ツルリとしてものすごく甘い。種は枝豆の数倍濃い甘い味で、ホクホクしています。栄養価が高いのがわかる味です。アフリカではどのようにしてこの実を食べているのでしょうか。実は少ししかありません。それをたぶん、丁寧にスジを取りつつ食べているんだなと思いました。けっして実のたっぷり詰まった豊かな味ではありません。きびしい味。わかるでしょうか、この「きびしい味」という表現。私達のような飽食の世界に生きる、何でも電子レンジでチン、余ったり、まずかったら捨てちゃえの味ではなかったです。1人キッチンに立ったまま、その実を歯でしごいて食べながら「食べ物はアートじゃない。生きていくためのものなんだな」と深く思いました。