日本へ今週帰国する知人が、「最後にどうしてもヒラメのおろし方を教えてちょー」と言うので、夕飯に招待した。「日本に帰ったら、どこでもきれいに切ってくれたお刺身売ってるのに、どうして?」と聞くと、「だから覚えないし、ヒラメは高い」とのこと。なるほどね。アメリカに住んでいると、お刺身もなかなかないし、ましてやお刺身に切って盛り付けたものも、どこでも売ってるわけじゃない。なので、それを食べるには、自分で丸ごとおろすしか手段がない。私が魚釣りを始めたのも、旨い刺身を食べたいからだった。そんなもんです、ここで刺身を食べるということは。
「じゃぁ、薄造りでも」と、旦那が丁寧にやり方を教えました。旦那の説明がうまいのか、彼女の腕がよいのか、綺麗にできました。まぁるく、刺身の角が立つように盛っていきます。彼女は、日本に帰って、まずお母さんに自分で魚がさばけ、お刺身が作れるようになったことを見せるそうです。お母さん、とまどうことでしょう。「NYに行ってた娘が魚をおろせるようになった?」ことに。それはそれでよかったことです。ぜひ、お母さんをびっくらさしてちょーだいませ。
子牛の生のタンのさばき方も、餞に教えてさしあげました。まぁ、子牛のタンなんて、丸ごと日本じゃ売ってないだろうから、NYの食の思い出にと。ものすごいお餞別ですよね。なかなか生々しい。胡麻油でマリネして、焼いて、塩でお出ししました。
牛タンの相棒は「麦トロ」ですよね。このセットは東京の新橋の名物だとか。私は知らなかったんですが、東京出身者が声を揃えてそう言います。今月の料理教室は、この「麦トロ&牛タンセット」と「ひらめのカルパッチョ」をいろんなトッピングやハーブを使って数種類やります。ヒラメの解禁日に向けて、うちの料理教室に来てくれてる人全員、落ちこぼれなくみんなが新鮮な旬のヒラメをきちんと5枚におろせるように特訓する「ヒラメ強化月間」です。手順の筆記試験と3分でおろしてもらう実技の試験をします。というのはウソですが、できない人は両手に水の変わりにうちの肥満猫を入れたバケツを抱えて立っててもらいましょうか。重いよ。
最後のデザートは、これまた日本ではベリーが高すぎて食べる機会が少ないんではと、ベリー(ストロベリー)べりー(ブラックベリー)ベリー(ブルーベリー)べりー(ラズベリー)の必殺4ベリーのラムクリームソースをケーキ代わりに出しました。甘くて、酸っぱくての春らしいデザートでした。