師匠の竿に来た魚。腹が膨らんでいる。卵を抱えてるんだろうなぁ。20センチ強ってぐらい。
私は、師匠の家にあったこの干し魚をかじりながらウォッカを飲みながら、ヘラヘラしてた。
おっ、通訳のカオリちゃんの竿がぐっとしなる。魚だ魚だ。
師匠が名前を教えてくれたけど、
風が少し吹き始めてきた。グッと寒くなってきた。
今日は本格的釣りってのではない。まずは師匠に会って、そしてここのやり方を教えてもらって、どんな状況で釣るのかを見て感じて試して、そして魚の顔を拝む。そしてそれは叶った。ロシアの人達とも親交を深められた……ウォッカのお陰。それで充分。私は存分楽しめました。
「弟子にしてちょーだい。も一回来ていいか」と聞いたら、「いつ戻ってきてもいいよ。今度は真面目に釣れよ、ウォッカばっかり飲んでヘラヘラしてないで。わかったか」と。
「さぁ、今日はここまでにして、家に帰ろう。ばぁさんがおまえさん達のために、ボルシチとペリメニとお茶を用意して待ってるぞ」。
(完)