今回の”夢”の丸焼きを目前で見れて、ものすごーくためになったので記録しておく。
結論は「単に丸焼きじゃない」ってことだ。実にこの人達の知恵と工夫が経験によって盛り込まれているのよね。すげぇ。日本的ステーキでは六本木の某店で腕をならし、牛1頭の肉解体も経験している「輝くうちの肉マスター」の旦那の解説でお送りします。
まずは、こういう丸焼き料理は絶対チャコール、すなわち炭火で遠火でゆっくりとスロークックってのが、肉の旨味を引き出しジューシーに仕上げる第一条件だって。この家の屋外のキッチンステーションは、まさにこの日のために羊を丸焼きにする全ての環境と施設が揃ってるそうだ。まさに丸焼き用キッチン。設備はバイキングっていう業務用厨房機器メーカーのもので揃えている。(いいなぁ、欲しいなぁ。)
そして、丸焼き用ステーションには、羊の長さのステンレス棒が3、4本使える特殊な「丸焼き専用器具」が取り付けられている。どういう機械かっていうと、だいたいアストリアの大きめのグリークレストランにはあるやつで、ギリシャ人、けっこう持ってます。それの立派なやつ。もちろん火はガスとか電気じゃなくて、炭火です。網の下に大量の焼いたチャコールを入れるボックスがあるわけです。その上にステンレス棒に刺した丸焼きをセットして、遠火でじっくり焼いてくんです。回る速度やチャコールからの高さが9段階調整できるようになってたなぁ。
さぁ、ここから焼きの知恵と工夫です。この写真をよく見ると、子羊、けっこう痩せて見せませんか?私は、「あぁ、焼くと子羊ってけっこう細くなるんだ。でも肉屋の店頭にぶら下げてあるやつはもっとボテッとして見えたけど」と旦那に言うと、「君の目は超節穴だぁ! 今、見てたじゃないの、肉を分解してるところ!」と喝っ。
その答えは、この写真のラムのお腹のところにあります。凧糸で塗ってあるでしょ。腹を開いて内蔵を取り出します。内蔵は内蔵で、腸とかは先ほどのステンレス棒にぐるぐるに巻き付けて遠火で焼きます。ポイントは内蔵だけじゃなかったのね、取り出すのは。 一番美味しい部位も取り出してたのね。ということは、子羊の体内の肉は二分されてるってことです。だから痩せて見えるんですね。丸焼きにしているのは、足4本と頭とステーキ部分を取り除いたところなわけです。抜いたらお腹を糸で塗って元の形に再形してるわけです。だから、変に水分がしたたたらないで、皮はパリッと、中にもほどよく火が通って、短時間で焼けるのかぁ。この羊も朝8時から焼き始めて1時にはちゃんと焼けてみんなで食べちゃったもんね。なるほど。
こちら足まわりの肉です。
腿、うまいっ!皮、パリッパリっす!チャコールの遠火のなせる技だっ。
こちら内蔵。最高っす。ぜんぜん臭くない。めちゃ旨。味付けは、塩とレモンとオレガノのみ。
そして、こちらが、取り出して別焼きにしたステーキ用肉の塊。
分厚く切り分けてくれました。実にジューシーでうまっ!
とってもいい日でした。
超ごちそうさまでしたん。