こちら、うちの旦那さんのアシストをしてくれてるロシア人のアンドリュー君です。VIP系和食レストランのエグゼクティブシェフでもあります。どんだけオットリしたナイスガイやね~~ん、アンタ。って感じの青年です。そのアンドリュー君と3人で晩御飯を食べに行ったのですが、その前にどーしても料理教室のお土産にしてもらいたいもんがあるので、一緒に買いに行きましょうと、近所のスーパーマーケットに行った。「ガスパジャン・グンジ、今から買いに行くものはロシアにしかないし、ウォッカ飲む時の最高のおつまみになるからね」と、ニコニコ顔でスタスタと雪道をマーケットに進むアンドリュー君。「えぇ、それって何?めっちゃ興味あるわぁ。楽しみやわ、どうしよ~」と彼の後を雪にはしゃぐ犬状態でついて行った。
マーケットに入って、まず何十種類とあるウォッカを置く酒コーナーで、この赤いラベルのウォッカを取り出し、小刻みに飛び跳ねながら、はじけるような手拍子うちながら、歌い出した、この男。♪♪~カリン、カカリン、カカリン、カマヤ~♪♪
えっ、えっ、この歌、あたしも知ってるぅ。♪♪~カリン、カカリン、カカリン、カマヤ~♪♪
いかん、足並み揃えて思わず一緒に歌ってしまった。みんな見てる、いつもの笑わない顔で。でも歌、とまらない。こらっ、とめ~よ~おっさん。100回ぐらいカリンカ言うたところで、アンドリュー歌をストップし、「このウォッカめっちゃまずいから飲んだらダメよ」。なんや、それ。全ロシアで販売されてるウォッカは200種類以上あるらしく、その味はピンキリらしい。一口飲んでロシア人でも倒れそうになるやつもけっこうあるんだってよ。「瓶がかわいいからってジャケ買いは危ないから気をつけて、ガスパジャン・グンジ」。思わずうなづいた「ダー」。おそロシア。
そして、ついに最終地、肉コーナーの隅っこで、何やら見つけ出して指し出されたのがこれ。
豚ちゃんマークのこんなやつ、ハラディエッツと呼ぶらしい。
「これよ~、これ!!!美味しいのよ。日本やニューヨークじゃ絶対見ないでしょ。豚足を5,6時間、塩で味付けしといて、ゆーっくりゆーっくり煮て、やわらかくなったら身をほぐして置いとくだけでできる、ウォッカの最高のお伴よ~、ガスパジャン・グンジ」と、得意そう。
「これっ、煮こごりやんけ~~~。あるぅ~~~~、日本にもあるぅ~~~。このドロドロで、しかも肉、どーやってニューヨークに持って帰れってゆーのよぉ。トランクの中、流れ出たら「ベム・ベラ・ベロ」やんか~~。これって大晦日にもう食べたわぁ。人んちお呼ばれして、フォークで隙間に垂れながら苦労して食べたあれやんか。おかげでお皿がドロドロになって、あと食べるもん全部ジュルジュルしてもーたあれやんけ~~。いらんわ~~っ。」と、思いつつ、せっかくここまでアンドリューが勇んで連れてきてくれたし、今後の旦那に悪影響を与えないためにも、笑顔で、うれしそうに、買い物かごの中に、なるべく、なるべく、小さいのを入れたのでした。
アンドリュー君、スパスィーバ。
ロシア人の大好きな肉の煮こごり「ハラディエッツ」でした。ちょっと食べると美味しいよ。たくさんはいらん。