結局、モントリオールは到着時におなかが空き過ぎてチャイナタウンでベトナムのフォーを早喰いしたのと、市場に行ったのと、atwaterって所で地下鉄を降りて寿司屋で酢がぜんぜん効いてないにぎり&巻物セットを晩飯に食べておしまい。今回のモントリオール・フランス風食の旅っていう予定は果敢なくも、朝のマクドナルドのコーヒーで崩れ落ちてしまったわけです。あぁ、通りすがりのベーカリーでもいいから、焼きたてのクロワッサンとカフェオレが食べたかったなぁ。前にモントリオール来た時も、夜着いて旧友に米一袋土産に届けて、トンボ帰りして来たもんな。縁がないんだろうな、この町には。で、夜明けと共にホテルを出発。目指すは、バーモント州とNY州とカナダにまたがるレイク・シャンプレインという湖。ちょっとここにどうしても寄りたかったのよね帰り道に。ルート15に乗り、国境を目指す。モントリオール市内はいいお天気だったのに、国境に近づくにつれ霧がどんどん濃くなっていった。国境は、もう何にも見えない状態で車の灯りだけが頼り。朝早いのに車の列。濃霧のおかげで一気に車を通してくれない。
そこで事件は起きた。
一番外のレーンにバスが一台止まっていてぜんぜん動いていない。しばらくすると国境警備隊の人が数人車中に入っていった。数分後、一人の山高帽に黒いコートにロングもみあげのユダヤ人のおじさんがバスから降ろされた。と思ったら、バスはエンジンをかけアメリカ領土に入っていった。え~~~~~、おじさん取り残されちゃったんですか。いや、捨てられたんですか~~~~、この霧のなか~~~~~~。ユダヤのおじさん、なんかプンプンとした足取りで、国境のブースを荷物を引きづりながら横切り、停まっていたモントリオール方面に向かうトレーラーの運転席をゴンゴンとノックし、運転手に何やらお願いしている。運転手が断った様子で、ユダヤおじさん、次のトレーラーにアタック。でもここでも断られてしまった様子。頭にきたんだろうなユダヤおじさん。帽子を道路にかなぐり捨て、腕にかけていたコートを道路に放り投げてしまった。そして携帯電話らしきものを取り出して耳にあてているのだが、相手からの反応がない様子。パタンと携帯を閉じポケットに入れると、投げ捨てた帽子とコートを拾い上げ、スタスタと霧の中に消えていっちゃった。何~~~~~、これ~~~~~~、おじさん、もしかしてハイウェイー歩いて帰るつもり~~~~。一体、このユダヤ人がアメリカに入れなかった理由はなんなんだろう。もちろん私には知る由しもない。霧の国境でのお話。