皿の上に落書きをしてみた。
コクのある甘い味のするスクイード・ブラック・インクで。
黒い墨。でも、この黒は黒一色ではなくて、マゼンタ100%+サイアン100%+イエロー100%+ブラック100%、すなわち、色の原色の赤と青と黄色、それに黒を混ぜ合わせた深みのある黒色なんだね。合成着色料ではけっして出せない黒という色。
味も同じこと。化学調味料ではけっして作れない黒の味。
バターと塩と胡椒で丸ごとイカを炒めただけなのだけど、火を入れていくうちにイカの内側から墨がじわじわと表に出始め、なんとも言えない濃厚なソースとなる。フライパンを動かさず、じっくりとジワジワと焼き上げる。ちょっとだけ最後に醤油を垂らし、ソースが焦げる寸前で火を止める。
ガブリと噛み付くと、中からホクホクの卵が口の中ではじける。口の中真っ黒。でも最高の味。
釣りたてのイカじゃないと、この味は出ない。
これだからイカ釣りはやめられない、止まらないんだよな。