日本からアートの大好きな21才の青年が、彼の姉君と一緒にうちに夕飯を食べに来た。去年うちに来た時は、ちょっとおとなし気な子だった。しかし、髪の毛を頭のてっぺんで結んでいたのがアート系な雰囲気を醸し出していた。一年経った今は、ちょっと大人っぽくおだやかな感じに変身していた。髪型もセミロングのソバージュまん中分けになっていた。いろいろ世界を旅して肝が座ったんだそうだ。学業の傍らモダンアートのギャラリーでアルバイトをし、来年はイギリスに2年間留学するという。希望に満ちあふれていた。いいなぁ。
「今日はどこに行ってきたの」と聞くと、「ビーコンのDIAまで」とのこと。「すばらしかった」と感激していた。一週間の滞在で毎日びっしりと巡っているアートギャラリーや美術館も感激の連続とのこと。
長いことここに住んでいると、「ニューヨークはよかった」と言われるとすごくうれしくなる。彼のようにアート巡りでもよいし、ショッピングでもよいし、野球でもよいし。
おなかをペコペコにして来たので、今日はバクバク食べてもらおうと、食堂メニュー。
若者向けチンゲン菜の煮びたし。丸ごとチンゲン菜を、油を入れたお湯で茹でて、別に作っておいた出汁に漬けこんでいる。豪快にバクッと食べてもらいましょう。バクバク。
お刺身、てんこ盛り。今日は日曜日で魚屋に刺身にできそうな魚がなかったので、日系スーパーの刺身となった。サーモンはお昼に塩と砂糖と酒で締めたもの。お皿に盛りきれなかった刺身で、旦那が「こだわりの太巻き」をちゃちゃっと作ってくれた。「若者はやっぱりごはんものが食べたいにちがいない」との彼の思いやりってもんですかねぇ。
その他、ちょこちょこと、冷やっことか、大根きゅうりの千切りサラダとか。ドレッシングやタレの代わりに塩ポン酢を出したら大ウケ。いやぁ、これ、役に立っている。プチぽん酢革命か。ぜひうちで自家製を作ってみたい。
50尾の海老を使って、思いっきり「海老チリ」を出したら、恐ろしいほどの勢いで、この姉弟は食べた。「若いっていいなぁ」と感心しながら、2人の食べっぷりに旦那と見とれてしまった。胃も若いんだなぁ。
デザートは必殺のベリー!ベリー!ベリー! こりゃ日本では高価なデザートだ。なんせこっちはベリーが安いもんなぁ。
バニラアイスを溶かしてヘーゼルナッツのリキュール「フランジェリコ」を合わせたソースをベリーにたっぷりかけて食べると、この上なく幸せな気持ちになる。春の素朴なデザート。