普段、うちの朝はコーヒーだけ、それも夫婦別々の時間に飲んで終わっています。「食べて栄養を摂る」というのではなく、「今日やること、やらねばならない段取りを考える」ためのコーヒーの時間である。そんな時間だけの味気ない非常に現実めいたものなので、せめて旦那の休みの日だけは、一緒にゆっくりと朝ごはんの時間を過ごすように、まっ、いちおう心掛けてきた。それが中華街での「飲茶」なのである。
皆さん、ヤムチャ(こちらではディムサムと言う)っていうと、週末とかの超賑やかなワイワイしたイメージをお持ちだろうが、うちらが行くのは、普通の日(ほぼ木曜日という半端な日)の朝、しかも朝9時過ぎ。店はだいたい9時に開店しているところが多い。早いところは7時半なんてのもある。この時間は、さすがのチャイナタウンでも食料品を運ぶトラックも少なく、パーキングスペースも見つけられたりする。前は、マンハッタンまで行っていたけど、ここのところ数年はすっかりフラッシングの店に定着している。喧噪の町がこの時間はゆるゆるなのだ。
店に入ると、いつも決まったテーブルに案内され、飲茶を運ぶおばさん達が「おはよう」と挨拶してくれる。そして、何も言わなくても、私達がぜったい食べる小皿を持ってきてくれる。いや、通い詰めてそうなった。回りは常連客。だいたいがゆっくりと新聞を読んでいる。ベターッとした時間の中で、夫婦でそんなに会話もないまま、ボケーッと過ごすのが私達は好きだ。ポツポツとつまらないことを私が話すと、旦那は聞いているのかいないのかわからない曖昧な返事をしながら、ニラ饅頭をつまんでいたりする。
グルメと称する連中に言わせると、飲茶なんて冷凍でどこに行っても変わり映えしないと言うが、このどこに行っても、世界のどこでも、この「飲茶」が食べれるということが逆にすごいと思う。中国人の世界のネットワークの大きさを私は感じる。フラッシングなんかは飲茶激選区なので、一度、よーく味わって食べていただきたい。手作りのものもあるし、どの店もいろいろ工夫をしているよ。飲茶をばかにしちゃいけない。
最近、私は飲茶の後半にコーヒーを頼む。中華街のコーヒーって意外とおいしい。濃くてミルクもたっぷりで。このコーヒーを飲みながらチントイをつまむってのが気に入っている。