昨日からクーラーボックスの中に入ったままになっていた魚をお昼からおろす。鯛ってウロコがきつくて、おろす側から言わせると厄介な魚なんです。今日は5匹だったのでまだぜんぜんいい方で、丁寧にという気持ちも持続できるが、これが50匹、60匹と釣れる時なんかは、もうウロコの吹雪が舞い散ります。鯛釣りに10年間、携わってきた舟のメイトさんの話では、その仕事を辞めて3年間、洗濯してもしても、Gパンのポケットから鯛のウロコが出てきて困ったと笑ってましたが、それほど堅いウロコが山程出ます。こういう時は、こっちでは電動ウロコ落としを使ってどんどん捌いていきます。でもこれを使ってる人はウロコの吹雪がもろかかり、真っ白になってしまうほどなんですよ。鯛専門店なんてのが日本にはあるけど、そこの板前さんはすごいなといつもこの小鯛のウロコを取りながら思います。
今日は、ハラペコの若者が2名、魚の匂いをかぎつけて夕飯を食べにきたので、彼等の未来がぱぁっと成功するようにと願いを込めて、おめでたく「鯛めし」なんぞを作ってさしあげました。丸ごと鯛を一度焼いて、土鍋にご飯を入れ、鯛の骨でとった出汁を注ぎ、昆布を敷き、その上に焼いた小鯛を載せてご飯を炊きます。土鍋で炊くのは難しいけど、なんか旨くできちゃったよ、今日は。ちとご飯が堅かったかな。蓋をしたまま食卓に運び、お客さんの前で蓋を開けるというコストパフォーマンスもばっちりのご飯です。そりゃいい香りで、好きなだけ自分でご飯をよそおって食べてもらいました。2人でものすごく食べたよ。おいおい、食べ過ぎだろ、3合喰っちまいましたよ。最後は生意気にわさびきかせてお茶漬けでいってましたよ。若いのに渋い食べ方するねぇ、にいちゃん。
刺身は、昨日からのシートラウト、小鯛の湯引きに加え、今日は1枚ヒラメをさばいたので、ふつうの刺身用に切ったのと、旦那が薄づくりを作ってくれました。お客は狂喜乱舞で、これまた大皿に盛った刺身をぺろりとたいらげちゃいました。刺身はやっぱり人気者です。シートラウトは昨日の方がおいしかったけど、鯛は今日の方が丁寧に作ったのでおいしかったような気がする。ヒラメは、このところよく食べるので私は手をつけず終い。ペコニックベイで釣った魚は、水がきれいで流れもあるので、どれを食べてもどこのよりもおいしいんです。ヒラメに関しては極端にペコニックベイのはおいしいです。味が他で釣ってきたのとぜんぜん違います。
ヒラメの味の違いは刺身よりも、油で揚げたりして火を通した時によくわかります。ブルックリンやニュージャージーのものは時々油臭い時がありますね。エサに何を食べたかっていうのでもだいぶん味が変わってくるようです。
暖かいものも一品と思い、和風で昨日食べておいしかった「小鯛のおかしらのあら炊き」をもう一度。それとスライスして茹でたじゃがいもにヒラメを載せて、パルメジャンチーズとマヨネーズ、卵、塩、コショウを混ぜ合わせたソースをかけてオーブンで焼いたグラタン風「ヒラメのチーズ焼」を作りました。和食ばかりの最後にこのアツアツの料理が出てくるってのもいいもんです。チーズとヒラメ、意外とおいしいんですよ。
ということで、今日も釣ってきた魚のおかげと、飛び入りで旦那が料理を手伝ってくれたおかげで、4人でおいしいご飯と楽しい話ができました。お客さん、満腹で満足げに帰っていきました。立派になるのだよ若者達。魚ぐらいだったらいつでも御馳走するからまたおいで。