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3月の中旬にちょっと郊外のチェスメ教会に行ったんですけど、道路を挟んで向かい側に、ちょっと風変わりな建物があって、中には入れないみたいだったんですが、面白そうだったんで、ちらりと写真を撮っていた。うちに帰って調べると、州立の航空宇宙計装大学の校舎らしい事が判ったんだが、それにしても………で、終わっていたのだが、別のことを調べてたら、ポロリと面白いことが発覚したのでここに記録しておく。 こちらチェスメ教会 (ul. Lensoveta, 12)。日本からツアー観光でここまで来る人はそんなにいないと思う。行く価値はあるよ、ものすごーくピンクでかわいいし、中も入れるし。あのエカテリーナ2世おばさまが、ツァールスコエ・セロー(ペテルブルグから南へ24キロ)のギンギラギンのエカテリーナ宮殿へ行く道に「1つ教会が欲しいわね」ってことで造られることになったようだ。一応歴史書なんかには、チェスマ海戦で、エカテリーナ率いるロシア艦隊が、トルコ艦隊に勝ったことを記念して建てられたということだが、私的には「1つ教会が欲しいわね」と思ったに違いないと思っている。 1780年に建てられたこの教会、ロシア正教ではあるが、ちょっと建物が違うね。ロシアン・ゴシック建築っていうらしいよ。イギリスとかのゴシックをロシア調にひねったものなのかしらん。建物に丸みはあるけど、先がツンツンしてるもんね。当時エカテリーナおばさまがお気に入りの建築家ユーリ・フェリテンが設計したんだそうだ。この建築家は、他にネフスキー大通りにあるかわいらしいアルメニア教会とか、大エルミタージュもおばさまの依頼で建ててますねぇ。 で、チェスメ教会、1924~1991年まで閉鎖されており、その後また開かれ、最終的には1996年から98年で今の姿に美しく改装されたということだ。最初からこのピンクであったかどうかはわかりましぇん。冬の離宮として使われていた現在のエルミタージュ美術館も、できた頃はクリーム色、その後、薄いピンク、赤茶、灰色になり、1947年から今のペパーミントグリーンになってるからねぇ。去年は「元のクリームイエローに塗り直そう」という話が出てたようですが、現時点はまだペパグリっす。景気悪いからか? さて、ここからが本題。 この教会が、今でも、何にもないところにただポツンとあるのが不思議だなと思ったところから話が始まった。昔、ここはかなりの湿地だったらしい。 昔の写真。うわっ、ほんま、周りなんにもないところにドンッと。それを開墾してこの教会が建てられたんだなと。 そうだよな、ペテルブルグの街全体が昔は湿地帯で、そこを開墾して街ができたってのをこの写真見たら納得した。 しかし、唐突過ぎませんか、これじゃ。 で、道路はさんで横にある建物だ。大学にしては「おかし過ぎる建物」である。何がおかしいっかていうと見りゃわかる。「昔何かであったであろう」ってことは私にだって。 そして、引き寄せられるように近くまで行ったら(ウソ、道間違えて逆側から教会に行くはめになっただけ)、かなりボロかった。手入れしてないなと外から見て思った。 どうしても気になったのでここ数日でいろいろ調べたら………… ここはエカテリーナおばさまが建てた「宮殿」だった。 こんな昔の写真が出てきたぞ。 チェスメンスキー宮殿。(Чесменский дворец) おばさまの依頼で、やっぱりユーリ・フェリテンが設計して、1977年に完成。 向かいにあるチェスメ教会はその付属施設として、その後建てられたものと判明。そっか、本命は宮殿であったのだな。 この宮殿、最初は「チェスメンスキー宮殿」という名前ではなかったらしい。ここは沼地、宮殿の周りも全部沼地。どんだけ’たくさんのカエルがいたことでしょう。なんか想像しただけでもゲロゲロになりそうですが、宮殿の名前「カエル宮殿」だったってよ、本当かよ! その名も、「ケケレケクシネンスキー宮殿(Kekerekeksinenski)つーらしい、何だよそれっ!カエルでケケレケかよ〜〜もう〜〜本当に歴史ってわからないわ〜〜〜フィンランド語で「カエル沼」らしいよ〜〜うける〜〜!!!…………1人うけてしまいました。なんかフィンランド語ってそういうのありますよね、リヒマッキみたいな………ビンカッカ……みたいな………マリメッコみたいな………。なので、ケケレケクシネンもありかと。あまりにも日本人的にこの発音がカエルの鳴き声に聞こえるのは私だけ?! でもね、調べるとフィンランド語ではカエルのことそうは呼ばないみたいなんだけど……どちらかというとオランダ語が近いような気がするんですが………ドイツではにわとりの鳴き声がこれに近いし(「kikeriki」(キカリキー)らしい。もしここからこの宮殿や場所の名前がきてるなら、歴史はひっくりカエルぞ!)……どこの説明見ても「フィンランド語でカエル沼のことをKekerekeksineと言う」としてるんですが、どなたか真実を教えてください。まぁ、なんでもいいんですが、ゆっくり寝付きたいもんで。 では、本題に戻りましょう。(こうして私はチマチマ調べてるうちに、横道に逸れ続けて一週間が経ってしまった) ここで言いたかったのはイギリスの名門陶磁器ブランドである「ウエッジウッド」です。 ウエッジウッドには有名な「カエルの紋章」の食器があるそうです。それは、エカテリーナ2号おばさまが、このカエル宮殿を建てた際に、ウエッジウッドに注文したものなんですね。「ここ、カエル沼って言われてるし、カエル多いし、じゃっ、食器に全部カエルのロゴ入れときましょ、おもしれーじゃん。じゃっ、それっ、ウエッジウッドにデザインさせといてね、よろしくです」ってなことでご注文されたんでしょうね。エカテリーナおばさま、見直しました、洒落がきいてる〜〜〜〜〜〜〜〜ぅ!!! それが、ウエッジウッドのグリーンフロッグセルヴィスです。 で、900余りの全食器にこの沼にいる「カエル」のロゴを入れちゃったらしいです。嘘みたいな話っすねぇ。で、その食器ってエルミタージュ美術館にあります。明日見てきます。で、食器の前でケケレケケロケロって言ってみます! いや〜、散歩で通りすがりのおんぼろ屋敷に、こんなお話が詰まってたなんて、もうキリがないわロシア。現在ここは、歴史協会などが中心となって、改築が少しずつ進んでいるようです。数年経ったら、たぶん一般にも開放されるかと思います。そうしたら、ぜひウエッジウッド直営のレストランとかカフェでも併設して、カエルをたくさん飼って、ゲロゲロと飛び跳ねる中で、エカテリーナおばさんの事とか想いながら、お茶とかお食事できたら、また1つ素敵な観光地になるでしょうね。まぁ、絶対そういう野暮なことはロシア人考えないでしょうが。
by machikogunji
| 2015-04-03 20:35
| ペテルブルグ/2015冬
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