アマコフスカヤ駅で、タニャちゃんと待ち合わせ。面白いところに連れて行ってくれるってことで。
タニャちゃん隊長で4人で出発。
通りを渡ってマヤコフスカヤ通りを北上、ジェコフコヴォ通りを西へ、そしてアパートの中庭へスタスタと。さすが、ロシア人のタニャちゃん、門が開いてると、積極的に中庭へ攻め込む。(ул. Жуковского, 6)
ギャー、これ〜〜なに〜〜〜!
なんかのアニメみたいな、今風の壁画じゃねーかーよー。っと思いきや、これプーシキンのおとぎ話の1コマらしい。
誰だ〜〜〜この目ん玉ぎょろ剥き出しのじーさん?!
後でウィキペディアであらすじを読んで、誰だかわかった。
「大頭」という悪いやつらしい。……しかし……大頭って………そのまんまの絵だ。
『霧が晴れると、「大頭」が登場し、口から息を吹きだし、嵐を起こして、ルスランを吹き飛ばそうとする。ルスランが槍で大頭を打つと、大頭は倒れ、下から剣が現われる。ルスランは剣を手に取り、そして大頭にどこからか来たのか尋ねる。大頭は、息も絶え絶えに、自分がかつては巨人であり、弟の小人が黒魔術師・チェルノモールであると説明した。また、この剣は、兄弟2人を殺す運命をもち、チェルノモールは、運命に抗うために、兄である巨人を騙して首を斬り、この剣の上まで生首を飛ばして、剣を守らせたのだと語った。剣を手にしたルスランに、大頭は、仇を討ってくれるよう頼む。』
………なるほど。そういう場面の絵だったのね。
そして、この絵、ただのどっかの若者が描いた絵じゃなかったのね。
イヴァン・ヤコヴレーヴィチ・ビリビン(1876年8月16日〜1942年、レニングラード包囲戦のさなかに亡くなっている)という、ペテルブルグ出身の、20世紀初頭の最も影響力のあるイラストレーターの描いた「ルスランとリュドミラ」の挿絵の一場面を誰かがこの壁画にしたものらしい。
しかし、今から7、80年も前に、こんな斬新な絵を描いてた人がいたんだね、びっくり。それにしても奇抜な絵だ。
これがビリビンの原画。タイトルは「Ruslan Meeting the Talking Head」。
ほんとだ、ちょっと足下の骸骨とか省略してるけど、この絵を大きくしたんだね。
ウ〜ン、ロシアの壁画、奥が深い。
ビリビン、こんな絵も描いてたんだね。それにしても斬新。「イリヤー・ムーロミェツと追い剥ぎソロヴェイ」
これ、ビリビン。男前やん。
もうひとつ、
「ルスランとリュドミラ」の初頭の一場面を再現した場所が横にあった。
『かしは黄金の鎖を巻き、昼も夜も学者猫は、鎖をめぐってぐるぐる回る。右に回れば歌をはじめ、左に回れば物語を語る』を実際にカシの木に、木彫りの猫を乗せて、鎖を木に巻き付けているんです。
どうも、猫の状態からすれば、左に回ってる気がするんですが。左なら物語を語ってくれるね。
アパートの中庭に、こんなプーシキンの世界が広がってるなんて、やっぱりロシアはすごいなと感心した。子供達が遊べる小さなスペースもあり、小さい時からこうしてプーシキンのおとぎ話に触れてるんですね。
その足で、タニャちゃんが連れて行ってくれた場所が、これまたちょいと粋なんだもの。
このプーシキンの「ルスランとリュドミラ」をオペラにした、これまたロシア音楽になくてはならない人物ミハイル・グリンカの住んでたっていう家へ。あぁ、なんて素敵なお散歩でしょう。
(つづく)