メイン州の凍った川の上に幻の天丼の店、オープン。
今、流行りの言い方すれば「隠れ家的お店」でしょうか、ガハハ。
暖簾はないです。住所も定かじゃないです。川っぷちじゃなく、川の上だもんで。電話、もちろんないです。
予約? 恐れ入りますが、受け付けておりません。
お約束できないんです、天ぷらのネタの仕入れが、ちょっと難しいもんで。
今回は限定14人様で閉め切らせていただきました。
お料理に手間はかからいんですが、ガスコンロ2台しかないもんで。
あっ、ご飯は一応、炊飯器は一切使用しておりません。コンセントないんで、ここ。その辺で割ってきて干した木を暖炉にくべて、ル・クルーゼ鍋で炊いてます。木が湿っていて苦労したんですが、
飯炊きのトモさんというおばちゃんが、これが火の起こし方から火加減、ごはんの程よい蒸らしまで、横でしっかり見てますんで、店主としては助かってます。せっかくなんで、写真撮影をと思ったんですが、「ごめんなさい。今日ちょっとお化粧してないんで、これで勘弁してちょーだい」と後ろ姿だけ許可が出ました。
こんな感じで、魚釣りながら、開店準備です。
奥のべっぴんさんが、仲居のマヤちゃんです。学生時代にマンハッタンのミッドタウンで名物ウエイトレスだったんで、氷の上でもよく動いてくれるんで助かってます。今回、出前も担当してくました。最近、魚もちゃんと下ろせるようになったので、今日も天丼の下ごしらえもしてもらいました。釣りしながら、ストーブでカワハギの干物炙りながら、出番を待ってます。
さぁ、周りの小屋の漁師さん達から、次々と昼飯用の釣り立ての魚が届きます。
今日の天ぷら種の「釣りたてのスメルト」、跳ね回るのを手づかみにして、衣をさっと付け、油に落としていきます。
新鮮な魚には余分な水分がないので、油も思ったほど飛び散りません。
揚げ担当は私です。
私が揚げて、天つゆにさっと通した魚を、トモさんが準備した炊きたてのご飯の上に乗せていきます。
究極の天丼のできあがりを持って、マヤちゃんがドンブリに負けない笑顔で各小屋にお届けします。
「天丼5人前、おまちどーさま〜っす。冷めないうちにどっぞ〜。器、表に出しといてくださ〜い。後で回収にきま〜す」。
朝10時半には売り切れ閉店。
今年も、美味しい「釣った魚をその場で天丼」でした。
来年の、またのお越しをお待ちしております。